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子どものための民間教育委員会

October 16, 2005

 大阪市情報公開審査会は10月14日、市教委が非公開とし当会が異議申立てを行っていた「小中学校各1校における00年度卒業生全員の指導要録中の総合所見欄(個人識別情報を除く)」について、これを公開すべきと答申した。
まず、指導要録とは、学校教育法施行規則に基づき学校長にその作成が義務づけられている公簿で、様式1(学籍に関する記録)と様式2(指導に関する記録)から成り、小学校は6年間、中学校は3年間を通じて記載され、その保存期間は、様式1は20年、様式2は5年と定められている。
このうち様式2には、各教科の観点別学習状況や評定などのほかに、児童生徒の優れた点を担任教諭が記述する「総合所見」欄があり、20年ほど前から、指導要録の本人開示請求が各地で起き、この「総合所見」欄に対し、各地の教委は「指導要録は児童生徒・保護者に開示することを想定して作成されたものではない」「開示することで児童生徒・保護者と学校との信頼関係が崩れるおそれがある」などとしてこれを非開示としていた。
当会は、高槻内申書裁判、西宮内申書・指導要録裁判をはじめ、内申書・指導要録の本人開示に対しこれを非開示とした自治体教委に開示を求める各地の裁判にかかわり、また、各地の個人情報保護審議会に異議申立てを行い、現在、内申書・指導要録の本人開示は全国ほとんどの自治体教委において認められている。
しかしながら、児童生徒の継続的な指導に資するための基礎資料とされている様式2ではあるが、現実問題として、禁帯出(持ち出し不可)文書であり職員室の書庫に鍵をかけて保管してある指導要録を、わざわざ管理職に鍵を借りてまでこれを見る教員はほとんどなく、新担任が児童生徒の情報を知りたいと思えば前年度の担任に直接聞けば事足りる話であって、指導資料としての利用価値は皆無に等しいと言える。
また、5cm角ほどの記述枠に全人格的な記述をすることは不可能であり、全児童生徒の「総合所見」欄に「特記事項なし」という判子を押し、内容を記述しない学校もある中で、児童生徒の長所を記述するとすれば、活発・元気・誠実・まじめ・責任感・自主的・リーダーシップ等々、いくつかのブロックに分類されているとしか考えられず、「総合所見」欄は形骸化しているのではないか、であるとすれば、教員に不毛の労力を費やさせているだけであって、こんな無駄な時間を費やすよりももっと子どもたちにかかわった方がより有益であるという観点から、当会では様式2の廃止を文科省及び都道府県教委に求めてきたところである。
今回の公開請求は、その内容が形骸化されていると推測することは必ずしも失当ではないということを立証するために、また、児童生徒本人の情報ではない他事記載(98年、生徒本人や保護者が学校側と連日のように争い、学校との間に極めつけの軋轢があった生徒の内申書に『両親ともに教育熱心である』という文言があり大きな問題となった)など、不当な文言が記載されている可能性があるということを含めて、個人識別情報をすべて除いた上で、小中学校各1校の全児童生徒の「総合所見」欄のみを公開請求したものである。
今回、非公開決定を取り消しこれを公開すべきとした答申は、市教委の決定後、実際に文書の実施を受けて公開内容を検証してみないと分からないが、この答申によって、「総合所見」欄の形骸化が浮き彫りになることを期待するものである。
ところで、大阪市は、幹部職員から一般職員に至るまでの不当・不法な厚遇や公金支出を求心力として、全国でも稀に見る仲間意識の強い行政組織を作り上げ、結果としてこの20年間に6兆円、市民一人当たり240万円を超す借金自治体となった。
88年に他の自治体にかなり先駆けて制定された大阪市の情報公開条例(当時は公文書公開条例)は、本来、行政の保有する情報を広く市民に開陳することを目的として作られたものだが、この条例中の適用除外部分(非公開部分)である個人情報・事務事業遂行への支障・公にすることで率直な意見の交換ができない等々の条文を極めて拡大解釈することにより、行政情報の公開を拒む柱とした。
そしてその防御壁として、第三者機関とは名ばかりの、大阪市に関連ある弁護士・学者で構成した官制の情報公開審査会を作り、この審査会の答申を盾として今日に至っている。
審査会の歴代メンバーは、それぞれの審査にあたって、ほぼ行政の意向に極めて忠実に答申を出してきたという、まことに浅ましくも見下げ果てた委員たちであったが、今回、市長の突然の市政改革というパフォーマンスに、当然、市の意向追随型が機能したのであろうか、公開するようになったということは極めて皮肉なことである。
それにしても、自主性のない審査会メンバーに対し当会は過去3回、全員の辞任を求めてきたが、今回こそは、その時期に来ているのではなかろうか。